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『2014会計事務所の経営白書』が明らかにする会計事務所業界最新トレンド

      2015/09/10

先月発行された『2014会計事務所の経営白書』には、会計事務所業界の最新動向を浮き彫りにする約100種類の統計と、統計の分析による業界トレンドの詳細解説が掲載されている。

東北地方と九州地方で新設法人のチャンスが拡大

「平成24年経済センサス」で公表された「産業小分類、都道府県のランキング」から、開設時期が平成23年以降の事業所を見てみよう。

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事業所数では「専門料理店」「酒場」「バー」といった、飲食店が上位を占めるが、総事業所数のうち新規開設事業所が占める割合を算出すると、そこから成長産業が浮かび上がってくる。

8.6%と急激に増加しているのが「持ち帰り飲食サービス業」。「その他の洗濯・理容・美容・浴場業(エステ業など)」や「療術業(マッサージ店など)」も伸び率が高い。

「酒場、ビヤホール」「バー、キャバレー、ナイトクラブ」「専門料理店」といった、飲食系の産業が多くランクインする中で、「老人福祉、介護事業」の伸び率が高いのが分かる。これらの産業が、新規顧客となる可能性は高い。

介護事業は、新規開業の際に特殊な手続きや準備がいる。開業時に相談に訪れた見込み客に適切なアドバイスができるよう、準備を整えておく必要があるだろう。

次に、都道府県別に平成23年以降の開設事業所を見てみよう。

実数で分析すると、東京都、大阪府、愛知県などの、関東・関西における大都市圏が上位を占める。一方、割合から見てみると、沖縄県や福岡県といった九州地方、震災からの復興を進めている宮城県や岩手県などの東北地方で増えているのが分かる。

税理士法人vs個人事務所二極化の進行が鮮明に

個人事務所の減少と、税理士法人の急伸が会計業界のトレンドとなっている。

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平成21年と比較して、事務所数において税理士法人は451件増加(23.1%増)。一方、個人事務所は1,603件(5.9%減)と、大幅な減少を見せている。

個人事務所の減少は局地的なものではなく全都道府県に及んでいる。

47都道府県のうち、平成21年から個人事務所の数が変わらなかったのは3県(秋田県、福井県、香川県)のみ。残りの44都道府県で減少している。

税理士法人の増加に目を向けてみると、減少ないしは維持だったのは4県(茨城県、奈良県、徳島県、沖縄県)のみ。上記以外の都道府県ではすべて増加しており、最大の増加率を見せた島根県では、平成21年の数値と比較して4倍増となっている。

特に法人化が進んでいるのは都市部。東京都、大阪府、愛知県などが増えている。大都市圏では顧客の争奪戦が激しく、法人化することによって信頼性の向上、組織の強化などを図っていると思われる。

また、平均従業員数を比較した際に個人事務所では4人強、法人事務所では11人強と約3倍となる。合併やM&Aによる法人化による人員増で、営業、マーケティング、業務面の強化を進めていることも予想される。

平成22年と比較して平成24年には会計業界の総売上が約3千億円増収しているが(総務省統計局「サービス産業動向調査」)、税理士法人と個人事務所という二極化の進行と、顧客の争奪戦が始まったことによる潜在マーケットの掘り起こしが、その理由のひとつとして考えられるのではないだろうか。

『2014会計事務所の経営白書』

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