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「税理士の懲戒処分に係る非違事例」に見る懲戒処分の現状

      2015/09/17

国税庁では「税理士の懲戒処分に係る非違事例」と題した事例集を公表している。本資料には実際の処分例を元に具体的な事例が記載されており、違反行為の未然防止策を講じるための一助として活用できる。ここでは一部を抜粋する。

■名義貸し

[事例1]自分で確認して署名押印すれば問題ないと思っていた
税理士Xは、税理士資格を有しないLから依頼され、4年間にわたり同人が作成した法人20社の法人税並びに消費税及び地方消費税の確定申告書、個人30名の消費税並びに消費税及び地方消費税の確定申告書合計250件に署名押印する「名義貸し」行為を行った。

[事例2]無資格者に印鑑を預け署名押印を許可していた
税理士Xは、自ら税理士資格を有しないNに依頼し、同人に法人25社の法人税並びに消費税及び地方消費税の確定申告書、個人30名の消費税並びに消費税及び地方消費税の確定申告書合計200件を作成させる「名義貸し」行為を行った。

[事例3]会計会社が作成した申告書に署名押印
税理士Xは、会計業務を業とし、税理士資格を有しない株式会社Oの代表者から「1~2年したら会社をたたむ予定なので、その際にはあなたに顧客を全部任せたい」と言われ、1年間にわたり、株式会社Oが作成した法人15社の法人税並びに消費税及び地方消費税の確定申告書、個人5名の消費税並びに消費税及び地方消費税の確定申告書合計40件に署名押印する「名義貸し」行為を行った。

■使用人等に対する監督義務違反

[事例4]職員が脱税に加担して謝礼を受領
税理士Xは、関与先である法人3社の法人税の確定申告について、使用人であるTが3社の代表者から依頼を受け、架空の外注費を計上するなどの脱税に加担し、謝礼金を受領していたにもかかわらず、監督を怠り、これを見過ごした。

[事例5]社員税理士が業務外で自宅にて申告書を作成
税理士Xは、税理士法人Uの社員税理士であるにもかかわらず、同税理士法人の業務外で、自宅の事務所において、法人6社及び個人11名の申告書の作成を行った。

[事例6]業務管理の規定が未作成で、チェック体制も未構築
税理士法人Zの社員税理士であるVは、関与先である有限会社Wの消費税及び地方消費税の確定申告に当たり、代表者からの求めに応じ、課税仕入れとならない給与を外注費と仮装することにより納付税額を不正に圧縮した申告書を作成した。

また、当該税理士法人においては、業務管理のための規定等が作成されていないほか、社員等の業務の遂行状況についてチェックする体制が構築されていないなど、業務運営の適正を確保するための内部管理体制等が整備されておらず、運営が著しく不当と認められた。

極秘インタビュー
私はこうして税理士懲戒処分を受けた!~実際に受けて分かった教訓とは?

税理士懲戒処分とは、どのようなケースがどのようにして発覚するのか?

今回は特別に、懲戒処分を受けた税理士の声をうかがったのでインタビュー形式にして紹介する。

─どのようなことで税理士懲戒処分を受けたのですか?

P税理士(仮名):使用人等に対する監督義務違反です。

─具体的にはどのようなことだったのか、教えていただくことはできますか?

P氏:はい。事務所の職員だったJ(仮名)が、担当の顧問先・G社(仮名)の社長から架空経費の計上や売上除外を強要されていました。もともとG社はJ自身の知人からの紹介で顧問先になった会社で、私はほとんど顔を合わせたことがありませんでした。

─どのようにして発覚したのですか?

P氏:税務調査のときに発覚しました。G社にはじめて調査が入ったときに、私もJと一緒に事前準備に行ったのですが、社長もJも「大丈夫です、問題ありません」ときっぱりと言っていましたので信じていました。

ところがいざ調査が入ったら、いろんなことがボロボロと発覚してびっくりしました。

後ほど、よくよく聞いてみた上で調べたら分かったのですが、売上除外や架空経費は、G社を解雇された社員が、腹いせで税務署にタレコミをしたらしいです。参りました。

─税務調査の前に、何か兆候はなかったのですか?

P氏:当事務所では他の顧問先の顧問料は軒並みダウンしたなか、G社は顧問料が増額しました。特に私の方から何かお願いしたわけではなかったので、ありがたいなと思う反面で何かあったのかなとは思いましたが、今振り返れば口止め料だったのかもしれませんね。

担当だったJもG社とは非常に懇意にしていたみたいで、しょっちゅう食事に誘われていたようでした。

─どうすれば、懲戒処分を防げたと思いますか?

P氏:対応を職員に任せている顧問先であっても、私自身が直接コミュニケーションをしっかり取っておくべきだったと思います。

あと、職員からの業務報告の仕組みも作っていたつもりだったのですが、このようなことになってしまって意味が無いものだったと悔やんでいます。もっとしっかりと日報での管理を徹底していればと思いますね。

『税理士懲戒処分 考え方と事例及び対策』

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