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ユニークかつ新しい税制が登場 平成27年度税制改正のポイント

      2015/09/15

「第11回新春感謝祭2015」の2日目「資産税フォーラム」のメインイベントは、毎年恒例の平川忠雄氏(税理士法人平川会計パートナーズ・代表社員税理士)による「平成27年度税制改正のポイント」。相続税改正を踏まえた数々の改正ポイントを知ろうと、参加者の知的好奇心が最高潮に達した。

「平成27年度税制改正はユニークかつ新しい税制が登場しています」。講義冒頭で平川氏がこう語ったように、平成27年度税制改正は新しい税制が目立った。
同セミナーのポイントを紹介する。

高齢者層から若年層への資産の早期移転を促進

まず、今年1月1日に改正した相続税・贈与税に関する資産課税では主に次のような改正点がある。

●住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置等の延長・拡充
●教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置等の延長・拡充
●結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設
●非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予制度の見直し
●各種特例制度における添付書類の簡略化

高齢者層から若年層への資産の早期移転を通じて、裾野が広く経済波及効果が大きい住宅需要を刺激するとともに、省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性を備えた良質な住宅ストックの形成を促すことが重要である。また、消費税率引き上げの前後における駆け込み需要とその反動による住宅市場への影響を鑑み、その影響の平準化と緩和を図ることが必要。そのため「住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置」については、適用期限を延長して拡充する。

少子高齢化の進展と人口減少に対応したのが、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設」。将来の経済的不安が若年層に結婚・出産を躊躇させる一因になっていることを踏まえて、祖父母や両親の資産を早期に移転することを通じて、子や孫の結婚・出産・育児を支援するため、これらに要する資金の一括贈与に係る非課税措置を講じた。

課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる

その後は法人課税へ。主に以下のポイントを解説した。

●法人税の税率の引き下げ
●欠損金繰越控除制度の縮減
●受取配当金等益金不算入制度の縮減
●研究開発税制の強化・重点化
●所得拡大税制の拡充
●外形標準課税の拡大

今般の法人税改革は、欧米各国も実施してきたように「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」ことで、法人課税を成長志向型の構造に変えるもの。より広く負担を分かち合い、稼ぐ力のある企業や企業所得の計上に前向きな企業の税負担を軽減することで、企業の収益力改善に向けた投資や新たな技術開発等へのチャレンジが積極的になり、成長へとつながるように法人課税の構造改革を行うものである。

この改革を通じて企業が収益力を高めれば、継続的な賃上げが可能になる。これまで企業に賃上げを促進するために「所得拡大税制」を創設・拡充していたが、今回さらに要件を緩和するとともに、法人事業税の外形標準課税においても、新たに所得拡大税制を導入し、企業の賃上げへのアクションをバックアップしている。

第一段階として、平成27年度税制改正において、欠損金繰越控除の見直し、受取配当金等益金不算入の見直し、法人事業税の外形標準課税の拡大、租税特別措置の見直しを行う。これらの改革に当たっては、地域経済を支える中小法人への影響に配慮して、大法人を中心に改革を実施する。

資本金1億円以下の中小法人については、軽減税率や各種の政策税制(中小企業投資促進税制など)が適用されるほか、欠損金繰越控除の控除限度、特定同族会社の留保金課税、法人事業税の外形標準課税をはじめとする多くの制度において、大法人と異なる扱いが認められている。

会計事務所にとっての最大の仕入れとは、税制改正の内容を把握すること。税制改正をどのようにビジネスに生かすか戦略を練ることが重要である。平川氏の講義が、多くの参加者に気づきを与えた。

『平成27年度税制改正のポイント』

平川忠雄氏(税理士法人平川会計パートナーズ代表社員 税理士)

 - 税務一般