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顧問先から聞かれやすい健康保険の基礎知識

      2015/09/07

会計事務所は顧問先から健康保険・年金・雇用保険について聞かれる機会が少なくありません。しかし、専門外の分野のため、的確に答えられないケースが大半。しかし、これではもったいない。健康保険・年金・雇用保険等の基礎知識程度を知っておけば、顧客満足度がアップします。

今回は冨樫晶子特定社会保険労務士・行政書士が、健康保険について顧問先から聞かれやすい質問の一例を解説いたします。

配偶者以外の場合の扶養はどうなる?

会計事務所は顧問先から、健康保険に関する質問をよく受けます。今回は、同族会社からよく聞かれやすい質問を一つ紹介します。

社長の妹(40歳独身)が退職した場合の保険料は、どれがお得?

例)社長の妹(40歳独身)が勤めていた会社を退職しました。その場合、保険料はどれが得か?

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上の表にあるように、選択肢は以下の3パターンが考えられます。

(1)社長の扶養に入る
(2)社長の会社の役員になり、役員報酬(月8万円)をもらう
(3)社長の会社でパートタイマーとして働く

まず(1)は単純に退職して職に就かないということで扶養に入るケースです。こちらは扶養家族が増えても健康保険と介護保険はかかりません。しかし妹さんは社長の配偶者ではないので、国民年金は自分で支払わなければなりません。そうすると、保険料の負担は毎月15,020円(平成24年度は14,980円)かかります。国民年金だけでも、毎月これだけかかることが分かります。

(2)の場合を考えてみましょう。試算してみますと、健康保険は4,286円、そのうち介護保険は589円になります。厚生年金が8,042円かかり、保険料の負担合計は12,328円です。

(3)のように、パートタイマーで働く場合、時給900円、1日6時間、月21日勤務とすると、月に113,400円の給与をもらえると仮定します。そうなると健康保険が6,045円(うち介護保険831円)で、厚生年金が9,027円になり、合計で15,072円負担することになります。((2)(3)とも平成23年2月時点の保険料率にて計算)

(2)(3)のポイントとしては、厚生年金は国民年金も同時加入の状態になりますので、年金の受給額は、国民年金だけの人より高くなります。デメリットとしては、同額で会社負担が生じることが挙げられます。また、役員や社員として雇用すると、諸経費や法定福利費がかかります。

一概にどの方法がベストとは言い切れませんが、同族会社ではこのような質問をされるケースがよくあります。

なお、健康保険や厚生年金の金額は、東京都の保険料額表を基に決定しています。

こうした基本的な知識を知っておけば、お客様からご相談があったときにも、簡単なアドバイスができるでしょう。

『会計事務所のための健康保険・年金・雇用保険の基礎知識』

冨樫晶子特定社会保険労務士・行政書士
2006年10月社会保険労務士 アキ・オフィス開業。顧問先、スポット先の社会保険・労働保険の手続、指導、相談、給与計算など過去約200社以上に関与。規模は1~800人規模間で幅広く対応。年金相談・手続件数は多数。その他、労働基準監督署の調査(是正勧告)への対応のほか、助成金申請手続、就業規則等諸規程の作成、各種年金セミナー、育児介護法改正セミナー、助成金情報セミナー、震災支援セミナー講師など、講演経験多数。

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