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増税前の相続対策提案のポイント

      2015/09/11

相続税の増税がいよいよ来年2015年に迫りました。最大のポイントは、基礎控除額引き下げです。それによって「うちは相続税がかかるのか?」と心配になる層が、会計事務所に相談に訪れるようになります。その際、どのようなポイントで相続対策を提案すればいいのか。

今回は吉村和浩税理士が「増税前の相続対策提案のポイント」について解説いたします。

新たに迎える相続顧客は何を望んでいる?

今回の相続税改正の最大のポイントは基礎控除額の引き下げです。これまで相続税とは無縁だった層にも相続税がかかることになり、「うちは相続税がかかるのか?」と、心配している方が多くいらっしゃいます。

これまで会計事務所が相続マーケットとして対象にしていなかった、このような方々に対して、どのように相続対策を提案すればいいのか。今までのやり方にとらわれない新しいポイントが必要なのです。

相続対策=相続税対策ではない

まず最も重要なのは「節税だけが対策ではない」ということです。われわれ税理士は相続対策というと、とかく税金に目が行き、相続対策=相続税対策と考えてしまいがち。しかし、節税だけがポイントではありません。

正しい相続対策とは、大きく分けて以下の3つです。

1.遺産分割対策
2.納税資金対策
3.節税対策

上記でいうと1、2、3の順番で重要になります。この3つのバランスが大事で、どれかひとつだけに偏ってはいけません。

そして、相続人が望んでいることを考えることが大切です。税理士主導で節税ありきの提案をしがちですが、そこが落とし穴です。お客様のニーズが違う場合があるからです。

相続対策は事前対策なので、提案をしても「うちはもめないよ」と言う方は非常に多いです。しかし、その思い込みが危険です。それを伝えた上でしかるべき対策を提案しましょう。

確かに両親のうち、どちらかがご存命の場合は、もめるケースは少ないです。しかし、その後の二次相続でもめるケースが多いです。ですので、その場限りの対策ではなく、二次相続以降を見越した対策を立てましょう。

お客様との信頼関係の構築が不可欠

相続対策を提案するにあたって、知っておきたいのは「親子同士でもなかなかお金の話はしない」ということです。

実際、ご自身に置き換えて考えてみると分かりますが、親がいったいお金をいくら持っているなんて話をしたことはないと思います。ここで税理士という第三者が入ると、話がスムーズにいきます。

財産額の把握は両親だけでなく、相続人の方々についても把握することに努めましょう。ここで隠し事があると、対策どころではなくなります。そのためにお客様と信頼関係を構築することが欠かせません。

財産額を把握した後は、想定されることを洗い出して、それぞれに合わせた相続対策を提案します。

家族構成や財産額に応じて対策すべきポイントはまったく違いますが、先に述べた以下の3つに大別できます。

1.“争族”対策のための遺産分割対策
2.税金納付のための納税資金対策
3.上記を踏まえた上での節税対策

最後に、相続対策の提案において最大のポイントは、お客様との信頼関係の構築になります。相続はお客様自身の財産の内容をさらけ出すことになるので、信頼関係が不可欠です。そんななか税金だけで話を進めてもまったく意味がありません。

信頼関係を築いた上で、贈与、不動産、遺言、保険など、相続対策のいろいろな選択肢を提案します。すると「あ、そういう考えがあるんだな」と納得し、お客様主導で「こういう対策をしたい」と言ってくれるようになるでしょう。

『相続対策をビジネスに高める方法』

吉村和浩氏
1982年生まれ。同志社大学卒業。2010年税理士登録。2012年吉村和浩税理士事務所開業。2013年Nextstage税理士事務所に改組。ベンチャー企業のスタートアップ支援、相続の事業承継に強みを発揮する。

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