事務所経営ニュース

事務所発展の基礎は職員教育

不況だからこそ費用対効果を考慮した研修の徹底が不可欠


会計事務所では8月の採用活動が一段落し、9月からは職員教育を本格的に始める時期に入る。労働集約型ビジネスの会計事務所は、人こそが財産。顧問先の倒産・廃業、顧問料の値下げ要求など、どんなに取り巻く環境が苦しくても、職員教育の優先順位を下げることはできない。費用対効果を考えながらも、強固な研修体制を整える必要がある。

昨今の大不況で、会計事務所の採用マーケットに若干の変化が生じている。一般企業に勤務していた層が、会計事務所の門を叩くケースが増えているという。

これまで会計事務所一筋で実務にあたっていた人材と、一般企業勤務経験のある人材とでは、何がどう違うのか。

まず、税務・会計の実務面に関しては、会計事務所勤務経験者にはかなわない。一方、一般企業に勤務していた人材のほうが、総じて対顧客とのコミュニケーション能力が長けている傾向にある。

ここでどちらを採用すべきか迷うところだが、最近では、実務経験が乏しくてもコミュニケーション能力がある人材を採用する向きが強くなっているそうだ。

「実務ができても、コミュニケーション能力がない人材にコミュニケーションの方法を教える」よりも「コミュニケーション能力があっても実務経験が浅い人材に、税務・会計を教える」ほうが簡単だからだ。」


 7割の会計事務所が職員研修を実施


全国の会計事務所を対象にしたある調査によると、7割の事務所が「職員研修を実施している」という回答があった。大半の事務所が何らかの形で職員研修を実施していることが判明した。

続いて、職員研修を実施している事務所を対象に研修の実施頻度をたずねたところ、過半数の53%が「月1回」と回答。「週1回」が26%、「月2回」が9%に達し、9割近くが月に1回以上の研修を実施していることがわかった。そのほとんどの事務所は1回の研修に1~2時間を費やしている模様。  先の統計で、職員研修を実施している事務所に研修内容についてたずねたところ、以下のような興味深い回答が得られた(外部研修含む、複数回答有)。

「専門的知識の指導」...87%
「コンサルティング能力指導」...29%
「コミュニケーション能力指導」...21%
「営業指導」...14%
税務・会計の専門知識や会計ソフトの使い方といった専門知識の研修は、大部分の事務所で実施している。それ以外のコンサルティング、コミュニケーションに関する研修については現在、急激に増加の傾向にあることがうかがえる。

今年2月に当社が開発したコミュニケーション研修キット「TCC研修プログラム」は、リリース当初から多くの会計事務所から問い合わせを受け、導入した事務所からは「こういう研修をやってみたかった」と好評を博している。実務以外の研修は、まだまだ普及する余地があり、各事務所がコミュニケーションに関する研修の方法を模索していたことが、改めて感じ取れた。


 研修は安く短期間で済ませたい?


ここで、参考として一般企業の人材育成状況に触れてみる。産業能率大学が昨年、従業員300人以上の企業を対象に実施した「企業の人材開発に関する実態調査」のなかの「次世代リーダー育成の取り組み」の調査結果を紹介する。

次世代リーダー育成を施す階層(部長、課長、一般社員等)の数については「3階層実施」が35%と、2006年の同調査と比べて増加。幅広い層への人材教育を望んでいる傾向にある。

次世代リーダー育成にかける年間予算の平均は1234万円。年間予算1000万円以下の企業が50%、3000万円超の企業が10%だった。06年の調査と比べ、1000万円以下の企業の割合が増加。人材育成の予算を縮小させている動きがある。

次世代リーダーの育成にかける期間に関しては「6ヵ月~1年未満」が30%と最も多く、「3ヵ月~6ヵ月未満」が25%と続く。研修期間の短縮化傾向が現れている。

以上のように、企業の人材育成は「幅広い階層」「少ない予算」「短い期間」という意向が読み取れる。一般企業と比べて規模が小さい会計事務所は、なおさら同様の傾向が強いだろう。


 
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