広瀬元義・勝手にコラム『業界最前線』
<vol.16>契約時のお客様は疑心暗鬼。何を望んでいるかを聞き倒し不安を取り除こう!!
顧問先を紹介した後は、実際に面談して契約という流れになるのだが、そのときに次々と契約に結びつける先生と、あと一歩のところで逃してしまう先生が存在する。
今回は「いざ契約」の面談時に気をつけることについてお話ししたい。
コミュニケーションがうまくとれないと、お客様は頼みたいと思っていても頼めない。
お客様は契約前の面談でリスクを感じている。初めて面談したときに、先生自身はもちろん、事務所の外観、カタログやホームページ、職員の雰囲気など、事務所のさまざまな要素に対して印象を抱く。しかし、それ以上に次のようなことについて心配しているのだ。
「サービス内容が思っているものと違うのではないか」
「ほかの税理士よりも顧問料が高いのではないか」
「ほかの税理士に頼んだほうがいいのでは」
「うまいこと説明されて、だまされてしまうのでは」
まさに、疑心暗鬼になって先生の話を聞いているといっても過言ではないだろう。
こんなとき、相手が自分に対して信頼を置いてくれるまで、話を進めてはいけない。
まずはお客様の話を聞いて聞いて聞きまくる。それから「ああ、そうですか。大変でしたね」「ああ、そうですか。ご立派ですね」「ああ、そうですか。よくわかりますよ」と、共感する言葉を返す。すると、相手は今の3つの言葉がすべてすんなりと入り「この先生って、私の考えていることを心配してくれている」というイメージを抱き、信頼を寄せるようになるのだ。
このように、リスクを取り除いてあげることが、契約時には非常に重要になってくる。 ここで、この記事を読んでいる方に問題を出してみる。 「目の前にお客様が現れた。絶対に断られないためには、どうすればいいのか?」
答えは「断る理由をつぶすこと」である。マーケティングの専門用語に「リスクリバーサル」があるが、これはリスクを取り除くことを表す。
例えば、顧問契約時にお客様が不安そうだったら「わかりました。社長さんがご不安になるのでしたら、1ヵ月だけ当事務所を試してみてはどうですか。問題があれば、遠慮しないで断ってください。顧問料は全額お返しします」と言えば よい。いかに相手の不安を取り除くかという点を前提にして面談を進めるかという視点が大事なのである。
会計事務所は天動説から地動説へ
これまでの、いわゆる「昭和タイプ」の会計事務所は「天動説」だった。プロダクトアウトの考え方で、自分たちのやりたいと考えることを中心に据えてサービスを展開していたようなものだ。これに対して「平成タイプ」の会計事務所は「地動説」。マーケットインの発想で、お客様の望んでいることを把握してサービスを展開している。
これからの時代の会計事務所は、お客様に合わせることが何よりも大事なのである。
広瀬 元義
株式会社アックスコンサルティング 代表取締役
会計事務所マーケティングの第一人者。1988年 株式会社アックスコンサルティングを設立。不動産コンサルティング、会計事務所向けコンサルティングを中心に業務を展開。2005年からは、会計事務所のネットワーク組織『FANアライアンス』を新たにスタート。Webコンサルティングやアウトソーシングなど新しいビジネスコンテンツをはじめ、経営計画や決算カウンセリングの開発を手掛け、多くの会計事務所の注目を集めている。また、AAM(米国会計事務所マーケティング協会)の正式メンバーとして常に最新情報を入手し、日本の会計事務所業界の成長発展に貢献している。

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