広瀬元義・勝手にコラム『業界最前線』

<vol.15>税制改正を学んだらそれによって何がビジネスになるのかを予測しよう!

マーケティングという言葉を聞いて、何をイメージするだろうか。「市場調査」「広告」「テレビ・新聞での宣伝」など、いろいろな言葉が想像できるだろう。

マーケティングをわかりやすくいうと「会社(事務所)のドア口に顧客を呼び込むためのすべての行動」になる。DM、FAX、電話、セミナーなど、顧客を増やすためのあらゆる行動がマーケティング活動なのだ。これからの時代、 マーケティングのない会計事務所は顧客を増やすことができない。私はこう断言する。

日本では「新規拡大」というと、すぐに「営業」という言葉に結びつけるが、特に会計事務所には営業マンはいらない。米国の何百人規模の会計事務所でも営業マンは存在しない。専属のマーケッターを抱え、事務所の価値を広く伝えることに注力している。

日本の会計事務所の規模ならば、事務所のスタッフ全員がマーケッターの視点を持って、一丸となってマーケティング活動にあたることをおすすめする。


マーケティングにはいろいろな方法がある


マーケティングの要素を会計事務所に取り入れるということはどういうことか。例えば、毎年の税制改正について勉強することは、税理士として当然であり、重要なことである。そこで、もう一つ別の視点を持っていただきたい。

「税制が変わったことで、マーケットがどう変わるのか、どうお客様が動くのか、今後何がビジネスになるのか」を考え、勉強し、予測すること。いかに今の状況を見ながらお客様を自分の事務所に呼び込むのか策を練ることこそが、マーケティングである。今から10年以上も前に、税理士法人タクトコンサルティングの本郷尚先生が同様のことを話していたのが、とても印象に残っている。

マーケティングには、例えば「レバレッジ」とか「ジョイントベンチャー」とか、いろいろなやり方がある。マーケティングを学ぼうと思ったら、こうしたハウツーのA to Zを一通り勉強したほうがよい。

当社は21年前に不動産相続のコンサルティング会社として設立した。お客様は当然地主さんになる。それには地主さんが信頼している税理士先生と組むことが得策と考えた。これがまさに「ジョイントベンチャー」にあたる。

また、地主さんや税理士先生から信頼されるには、税理士先生以上に不動産に詳しくなることが求められた。そこで物納に関するテキストを発行し、相当数売った。

その後、書籍も出版。新聞社に書籍を持ち込み、読者プレゼントをお願いし、プレゼント先からお客様を獲得できた。それからNHKテレビの「クローズアップ現代」にも出演することができ、知名度の向上につながった。こうしたこともすべてマーケティング戦略の一環なのである。


マーケティングなしの3年後を想像しよう


「マーケティングなんてよくわからない。今の仕事を一生懸命やっていればいい」。この記事を読んで、こんな風に思った方は少なくないのでは。

そんな方には、マーケティング活動をしない状態での事務所の3年後や5年後を想像していただきたい。先生方が望む望まないにかかわらず、自分の顧問先に新興の会計事務所が電話をかけたり、Eメールを送ったりしている様子が思い浮かぶことだろう。会計事務所も古いところは新しいところに、小さいところは大きいところにとって代わられるのだ。

「後悔しない人生のためにすべきことは何か?」「本当に自分の人生をかけて表現したいものは何か?」「残りの人生を使って会計事務所を通じてできることは何か?」

これらをもう一度考えていただきたい。そうすれば、マーケティング活動をするという新しい決断ができ、事務所が一歩前に進めることだろう。



広瀬 元義
株式会社アックスコンサルティング 代表取締役


会計事務所マーケティングの第一人者。1988年 株式会社アックスコンサルティングを設立。不動産コンサルティング、会計事務所向けコンサルティングを中心に業務を展開。2005年からは、会計事務所のネットワーク組織『FANアライアンス』を新たにスタート。Webコンサルティングやアウトソーシングなど新しいビジネスコンテンツをはじめ、経営計画や決算カウンセリングの開発を手掛け、多くの会計事務所の注目を集めている。また、AAM(米国会計事務所マーケティング協会)の正式メンバーとして常に最新情報を入手し、日本の会計事務所業界の成長発展に貢献している。


 
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