広瀬元義・勝手にコラム『業界最前線』
<vol.13>目標を信じることで道が見えてくる!
誰に事務所を預けるのか考えよう
先生方、確定申告お疲れさまでした。
この紙面を読んでいるころは、事務所も一息ついた雰囲気があると思われる。しかし、そんななか所長先生が考えなければならないのは、営業活動の戦略である。
4月は一般企業の年度始めにあたる。年初に目標を立ててない人、もしくは目標を立てたけれどうやむやになってしまった人は、いま一度事務所の目標を立ててみることをおすすめする。
目標とは、これから1年間の拡大件数、拡大売上、そして1人当たりの売上にあたる。特に1人当たりの売上は、本来ならば1人当たりの粗利なのだが、会計事務所は売上と粗利がほぼ同じなので、ここでは売上とする。これをどこに照準を当てるかが重要になってくる。
私は、1人当たりの売上目標は、1400万円から1500万円までもっていければいいのではと考えている。
井上得四郎先生に学ぶ目標の重要性
現在、当社と共同で「井上塾」を開催している井上得四郎先生についてお話ししたい。
井上先生は今年の3月で60歳の還暦を迎えられた。現在、事務所の年商は3億円で、先生ご自身の所得は6000万円に達する。
一般的な上場企業の社長の平均年収は3396万円といわれるから、上場企業社長の2人分近く稼いでいる。そして、職員1人当たりの売上も約1500万円と、高収益事務所の仕組みを自ら編み出している、すごい先生である。
しかも、井上先生は5年後の65歳の目標を「年収1億円」と大きく掲げている。そして、2億円の退職金をもらって引退することを明言している。
では、井上先生が年収1億円を稼ぐ方法をはじめから知っていたのかというと、私はそうではないと思う。ご自身が掲げた「年収1億円」という目標を信じることで、その道を切り開き、実現へと近づけているのではないだろうか。
よく、税理士の先生方と事務所の拡大目標について話していると「もう、これでいいや」と、事務所を伸ばすことを途中でやめてしまった人を見かける。なぜなのか話を聞くと「努力に見合った報いがない」「大した結果が出ない」といった声が返ってくるのだ。
要は「こういうやり方と、こんな方法を使うとうまくいくことが証明されていれば決断する」というように、うまくいく保証がないと一歩前に踏み出せない人が多いように思えてならない。
貴重な時間をどれだけビジネスに投資するか
今の話を所長先生方に置き換えると「何年後に」「何億円」「何人の職員」と、最終的な目標を立ててみることである。そして、もう一つ考えていただきたいのは、先生自身が「いつまで所長を続けるのか」ということである。
私が見た限りでは、税理士の先生方は「天寿をまっとう」というほど長生きした方はさほど多くないような印象を受ける。恐らく、土日も関係なく仕事が気になり、ついつい処理や作業に追われているのかもしれない。そのため、突然倒れたりするケースも目に付く。
私を含め、すべての人間に共通していることは何か。それは「いつか死ぬ」ということだ。貴重な時間をどれだけビジネスに投資するかを決断し、仕事にメリハリをつけることをおすすめしたい。
そして、所長の座、つまり人事権と予算を、いつ誰に譲るのかを真剣に考えてみよう。
現在、中小企業の事業承継問題が話題になっている。会計事務所でも事業承継をビジネスにしているところは多いが、特に個人事務所の先生は、まず自分の事務所の事業承継問題に着手し、後継者がいないようならば事務所を売ることを視野に入れなければならない。
何も「所長を譲る」「事務所を売る」イコール「引退」ではない。会長職に就いて従来と変わらない給料をもらい、懇意の顧問先だけ担当するという、ある意味ぜいたくな選択肢もあるのだ。
5月になると、会計事務所は3月決算法人の申告で忙しくなる。その前に先生方には、いま一度目標について考えていただければ幸いである。
広瀬 元義
株式会社アックスコンサルティング 代表取締役
会計事務所マーケティングの第一人者。1988年 株式会社アックスコンサルティングを設立。不動産コンサルティング、会計事務所向けコンサルティングを中心に業務を展開。2005年からは、会計事務所のネットワーク組織『FANアライアンス』を新たにスタート。Webコンサルティングやアウトソーシングなど新しいビジネスコンテンツをはじめ、経営計画や決算カウンセリングの開発を手掛け、多くの会計事務所の注目を集めている。また、AAM(米国会計事務所マーケティング協会)の正式メンバーとして常に最新情報を入手し、日本の会計事務所業界の成長発展に貢献している。

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