広瀬元義・勝手にコラム『業界最前線』
<vol.10>「利益」はあくまでも会計上。 「キャッシュリッチ経営」の 観点で顧問先を支援しよう!
当社は昨年12月の3日と12日に、日経新聞で全面広告を出し、多くの会計事務所や一般企業から反響をいただいた。広告紙面にも打ち出したことだが、2009年、当社は「所得倍増」をテーマに掲げている。
昨年2008年を振り返ると、ご存知のようにたくさんの企業が倒産し、数多くの企業が減収減益 を強いられた。リストラで社員を削減したり、内定取り消しなんて深刻な事態が起こっている。
私としては、こういうときこそ、経営者、そして税理士は、しっかりとビジョンを持って今の大変な局面を乗り越えていかなければいけないのではと思っている。 そこで当社では「キャッシュリッチ経営」を推奨する。
1月から2月にかけて当社で10回前後、全国のアライアンス会計事務所で通算20回前後セミナーを実施する。会計事務所が中心に開催するのは、これまで通り自著『イン・ザ・ブラック』の内容をベースとした「継続的な黒字経営を実現する9つの原則」セミナーだが、当社では「キャッシュリッチ経営」についてセミナーを開く予定だ。
「税務」から「会計」に スタンスを変えよう
では「キャッシュリッチ経営」とは何か?
税理士の先生方もよく いうキャッシュフローは収支を表す。その「フロー」の対にあたる「ストック」をいかに活かすかを追求するのがキャッシュリッチ経営。ストックの活用でリッチになろうという考えだ。
わかりやすくいえば、いわゆる「税務」から「会計」にスタンスを変え、会計から経営をみていこうということである。
現在、当社では多くの中小企業の経営者とお会いして、顧問税理士を紹介するビジネスをやっているが、そこで聞くのが「税理士の話がわかりにくくて難しい」ということだ。もっと経営者の立場に立った、わかりやすい説明の仕方を当社でもつくり上げていきたいとも考えている。
キャッシュリッチ経営のなかでやるべきことは、決算書をしっかりみて、会社の現状がどうなっているのかを把握すること。当社が実施している「決算カウンセリング」では、過去4期分の決算書を分析して、キャッシュがどうなっているのかを診断している。
ここで、会社が倒産することについて考えてみたい。昨年の倒産は未曾有の様相を呈し、1時間から1時間半に1社が倒産に陥ったという凄まじさだったが、ほとんどが資金繰りに行き詰った結果である。そのとき感じたのは「利益はあくまでも会計上のものであり、実際の経営上のものではない」ということだ。
経費を削るなり、いろいろと調整して利益が出たと仮定しよう。しかし、利益が出ようと出ていまいと、今日の現金は何も変わらない。利益は会計数字の活用解釈であり、キャッシュは企業存続の事実であり、真実なのだ。
ここの部分を経営者はしっかりみなければいけないし、税理士、そして会計事務所職員もそうした視点を持って顧問先の指導にあたらなければならない。
経営上では賞与引当金は必要
最近、キャッシュリッチの観点で職員を指導している素晴らしい税理士がいるという話を聞いた。
その先生の事務所の職員が顧問先の月次処理をする際、賞与引当金を計上していなかったそうだ。もちろんご存知の通り、賞与引当金は平成10年の税制改正で廃止され、税務申告上は関係なくなっている。
しかし、その先生は「賞与引当金は税法上関係なくなったけれども、経営上キャッシュフローを考える上で重要だから計上しなさい」と指導したそうだ。
こういう当たり前なこと、税理士の先生方が顧問先のキャッシュリッチ経営を実現していくなかで、必要な月次処理の方法として説明していくべきなのではと思う。
現在、私はキャッシュリッチ経営に関する書籍を書いている。この年末年始も執筆活動にかなりの時間を割いた。4月には書店に並ぶ予定である。
2009年、当社は数多くの「所得倍増計画」セミナーを開催する。そして、キャッシュリッチ経営のノウハウを先生方と一緒に構築し、ともに素晴らしい1年にしていきたいと思う次第である。
広瀬 元義
株式会社アックスコンサルティング 代表取締役
会計事務所マーケティングの第一人者。1988年 株式会社アックスコンサルティングを設立。不動産コンサルティング、会計事務所向けコンサルティングを中心に業務を展開。2005年からは、会計事務所のネットワーク組織『FANアライアンス』を新たにスタート。Webコンサルティングやアウトソーシングなど新しいビジネスコンテンツをはじめ、経営計画や決算カウンセリングの開発を手掛け、多くの会計事務所の注目を集めている。また、AAM(米国会計事務所マーケティング協会)の正式メンバーとして常に最新情報を入手し、日本の会計事務所業界の成長発展に貢献している。

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