広瀬元義・勝手にコラム『業界最前線』
<vol.6>成長続ける会計事務所に 優秀な人材が残る。 だから、営業活動を止めるな!!
先日、昔からいろいろと親しくさせていただいている辻・本郷税理士法人の本郷孔洋先生が新著『他人より年収10倍「稼げる」税理士になる方法』を出したということで、お会いしてお話をうかがわせてもらった。その際、当社主催のセミナーで本郷先生にご講演いただくことが決まった。今回はそのときの話のエッセンスを紹介する。
本郷先生は独立してから30年。今でこそ日本を代表する会計人の一人だが、開業から10年間は事務所のスタッフが10名程度の状態が続いたという。今も成長を続ける本郷先生と、当然ながら同一人物である点が私には興味深かった。
なぜ、10年間の停滞から規模を大きくすることができたのかを、本郷先生に聞いてみた。すると「実務担当者から経営者へと役割を変えたから」という答えが返ってきた。
事務所の規模が大きくなる条件の一つに、優秀なナンバー2と優秀な職員を育てることが挙げられる。そして、優秀なナンバー2や職員が事務所に残ってくれるようになるにはどうすればいいのか。それは「事務所が成長し続けること」なのだ。
営業して顧客を増やすことを企業文化に!
会計事務所が成長を続けるとはどういうことか。顧客を獲得し、それに応じて職員を増やすことである。つまり「営業活動」が必要不可欠なのだ。
大規模事務所では「営業キャンペーン」と題し、例えば3ヵ月ほどのキャンペーン期間中に100件もの新規をとってくるなんてケースもある。しかし小規模事務所ほど、こうしたキャンペーンをやりたがらない。
当社が主宰するFANアライアンスでも毎年、加盟事務所が一緒になって営業キャンペーンを実施している。加盟前は年に数件しか新規獲得がなかった事務所でも、他の事務所と合同でキャンペーンを行なうことで、3ヵ月ほどの期間中に10件前後の顧客を獲得している例もある。年間顧問料に換算すると1000万円。キャンペーンをやるのとやらないのとでは大きな違いがあるのだ。
先日、ある知り合いの先生とお会いした。その先生の事務所はかつて年間10~15件ほどの新規獲得だったが、当社と付き合ってから年60件も顧客がとれるようになった。今は黙っていても年に40件前後は顧客を獲得しているという。そのため、その先生は「今は新規獲得を控えている」と話していた。そこで私は「営業して顧客を増やすことを企業文化にすべきなのでは」とアドバイスした。
成長し続ける会計事務所になるには、営業活動を止めてはいけない。営業して事務所を拡大することを、企業文化にしなければならないのだ。
営業キャンペーンを行なう際の留意点
営業を止めないことを企業文化にするのに効果的なのは、営業キャンペーンを実施することである。キャンペーンをやるにあたっての留意点を3つ紹介する。
一つ目は、事務所のセールスポイントを決め、誰に何を売るのかを明確にすることである。中小企業の社長が「あ、この会計事務所に頼んでみよう」と思わせるようなキーワードを事務所のみんなで考えてみよう。
キーワードを決める際、「租税正義の実現」といった税務・会計の観点の言葉から一歩前に踏み出してみることをおすすめする。「企業の経営をサポートする事務所」「ビジネスの成功を応援する事務所」といったキーワードが、社長の心をつかむのではないだろうか。
二つ目は営業ターゲットの選定。これは現在、儲かっている業種に乗っかることをおすすめする。建設業や不動産業といった厳しい業種ではなく、ITやソフト、サービス業などに絞って営業をかけていくといいだろう。
三つ目は委員会をつくること。「営業委員会」「新規拡大委員会」など名前はなんでもいい。責任者を決め、委員会メンバーを中心に営業ツールを作成するのだ。こうすると、所長はかなり楽になる。
提案書やアプローチブックといったツールがあれば紹介を頼みづらい職員でも簡単に話を切り出せる。そして、クロージングは所長やベテラン幹部に任せればよいのだ。
広瀬 元義
株式会社アックスコンサルティング 代表取締役
会計事務所マーケティングの第一人者。1988年 株式会社アックスコンサルティングを設立。不動産コンサルティング、会計事務所向けコンサルティングを中心に業務を展開。2005年からは、会計事務所のネットワーク組織『FANアライアンス』を新たにスタート。Webコンサルティングやアウトソーシングなど新しいビジネスコンテンツをはじめ、経営計画や決算カウンセリングの開発を手掛け、多くの会計事務所の注目を集めている。また、AAM(米国会計事務所マーケティング協会)の正式メンバーとして常に最新情報を入手し、日本の会計事務所業界の成長発展に貢献している。



