広瀬元義・勝手にコラム『業界最前線』

<vol.4>あなたの会計事務所を 手放す日はいつですか?

なぜ、将来の売上目標を3億円に定めるのか?
実現に向けた3つの方法とは!?



首都圏のある税理士先生から「事務所を売りたい」という話を受けて、訪問した。その事務所のスタッフは4人。開業してから30年くらい経つ。年齢も60歳を過ぎ、体力的にもきつくなってきたので、事務所を売りたいと相談してきたのだ。

いろいろと話を聞いているうちに、考えさせられることがあった。その先生は、開業してからの30年間、3日以上連続で休んだことがないという。仕事や事務所が心配で遠出もできなかったらしい。

一方で会計事務所を30年やってきて、売上を5億円、10億円規模まで成長させている税理士もいる。ただ、先の先生を見ていると、いい加減にやってきたから事務所が小さかったのではないことがよくわかる。努力不足なのではなく、努力の方法が間違っていたから伸びなかったのだろう。

「起業」「仕事」「人生」という3つのキーワードを考えてみると、起業する人の多くは、用意周到に準備するというのではなくて、ある日突然「起業家熱」にとりつかれ「絶対うまくいくんだ」という思いに突進していくものなのだ。かく言う私も似たような経緯で当社を設立している。

アメリカの例を挙げると、多くの起業家が失敗している。ある本によると、アメリカでは毎年100万人が会社を立ち上げるそうだ。しかし、設立後1年で40%、5年では80%の会社が消えているという。

これだけ多くの会社が潰れている現状から、失敗する経営の共通点が浮かび上がってくる。それは、経営者自身が持っている知識や情報を独占し、社員と共有しないことだ。会計事務所でもこうした経営スタイルの所長は少なくないだろう。

税理士は、ビジネスの中心になる税務・会計の専門的業務をこなせれば、会計事務所をつくって独立することができる。ところが、専門的業務をこなすことと、自らの能力を活かして事業を展開していくこととは別の問題なのだ。

冒頭の先生の例ではないが、お客さんがいて、目の前に仕事がたくさんあり、いつも申告や採用のことで頭がいっぱいで、仕事を中心に自分の生活が回っているという税理士は珍しくない。結局、所長として会計事務所を経営しているのではなく、ただ単に大量の仕事を抱え込んで処理しているに過ぎないのだ。

私は多くの税理士に会ったとき「最低3億円の会計事務所を目指しましょう」と話している。
20代で独立した先生のなかには「5000万円でいい」と話す人もいるが、こういう話を聞くと愕然としてしまう。事業の仕組みが見えていないのだろう。同じ考えの方はもう一度確認したほうがよい。

では、どのように考えたらパラダイムの転換ができるのだろうか。

うまくいっている会計事務所を見ると、所長がいなくてもしっかり機能している。まずは、そこを目指してみよう。それと同時に考えるのは、会計事務所を立ち上げる真の目的だ。

会計事務所という事業を立ち上げる真の目的とは、自分が申告業務をすることではなくて、事務所をつくり上げて売ることである。というように考えれば、絶対にシステムをつくって所長がいなくても機能するようになるだろうし、売上3億円くらいのビジネスまで膨らませることができる。

では、売上3億円の事務所をつくるにはどうすればよいか。私は今年のAAM(1面参照)取材を通じて提案したいことが3点ある。

①Webという新しいテクノロジーを駆使する
②商品、サービスのなかに高額なものと人を呼び込むものをそろえる
③ブランディングをして会計事務所の評判を高める

これらが非常に重要なのである。そして、現在は小さくても、大きな会計事務所と同じ仕組みをつくり、同じように振る舞うことが求められる。

そして、Webやブランディング、書籍を出したり、カタログを制作したりするときに、全部を自分でやらずにアウトソーシングすることが大切。アメリカでは多くのCPAファームがこうしたブランディング活動をアウトソーシングして本業に集中している。

当社では、そうした前提に立って、さまざまなサービスや商品を開発し、会計事務所をサポートする体制を整えている。お気軽にお問い合わせいただければ幸いである。



広瀬 元義
株式会社アックスコンサルティング 代表取締役


会計事務所マーケティングの第一人者。1988年 株式会社アックスコンサルティングを設立。不動産コンサルティング、会計事務所向けコンサルティングを中心に業務を展開。2005年からは、会計事務所のネットワーク組織『FANアライアンス』を新たにスタート。Webコンサルティングやアウトソーシングなど新しいビジネスコンテンツをはじめ、経営計画や決算カウンセリングの開発を手掛け、多くの会計事務所の注目を集めている。また、AAM(米国会計事務所マーケティング協会)の正式メンバーとして常に最新情報を入手し、日本の会計事務所業界の成長発展に貢献している。



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